梅雨も明けて猛暑の中、東京オリンピックも開催されております。COVID-19が案の定、第5波となりピークがどこまで行くのか不安の毎日であります。自分のワクチン接種がいつになることやらです(笑)。
さて今回は、防水層の耐風圧強度に関してお話します。
建物の屋根及び屋上は、条件によっては地表面より物凄く強風が吹いております。その為建築基準法では、防水層及び屋根が台風などの強風があっても飛散しないように、建築基準法では施工前に必ず十分な固定耐力を持つように「耐風圧計算」をすることとなっております。
但し、旧建設省が定めている「各地域別基準風速」が、ここ最近の想定外の強風に対応できていないのも、今後加味していかなければいけません。
接着材にて密着工法にて施工するから大丈夫!!!!
と、思われるかもしれませんが、接着工法でも防水層が飛散した事例は、諸先輩方の話を聞きますと、何件もあるそうです。
※だいたい、接着材の塗布量をケチった場合だそうです
さて本題に戻りますが、塩ビシート防水の機械的固定工法の場合、下記事項が起因して、防水層が飛散する可能性があります。
① 固定ディスクの数が少ない
※建築基準法を満たしていない
② 固定ディスクを固定する強度が低い
※下地の強度不足 又は 施工不備
③ 固定ディスクと防水シートの接合強度が低い
※加熱装置の不具合 又は 施工不備
④ 想定外の強風が発生
『④』は論外のどうしようもない天災としか言えませんが、残りの『①②③』は、ほぼヒューマンエラーと言っても過言ではありません。
※論外とはいえ、各メーカーは建築基準法の2倍以上を確保しております
2004年の台風18号だったと記憶しておりますが、猛烈な強風により鉄塔や樹木が倒壊した時、塩ビシート防水層が全国的に多数飛散した事例が発生しました。この後、各メーカー共に固定ディスクの割付方法や、固定ディスク及び固定アンカーの変更による強度アップを試みております。
ただし、メーカーによっては1件も飛散していない事例もありました。
※施工不備による飛散事故は除く
その違いは、『②と③』でした。
『②』は、固定アンカー施工時に、エポキシ注入材を必ず使用することにより、安定的に強度を発生していました。
『③』は、そのメーカーが現在主流の先付ディスク工法ではなく、後付けディスク工法をまだ主力工法としていたことにより、物理的に塩ビシート防水層を固定しています。その為、加熱装置の不具合や施工不備で耐風圧強度が低下することがないのです(施工不備で漏水の危険性が増しますが)。
<後付ディスク工法① ディスク固定>
<後付ディスク工法② 補強シート増貼り>
<先付ディスク工法① ディスク固定>
<先付ディスク工法② シート敷き込み>
<先付ディスク工法③ ディスクとシート接合(加熱装置使用)>
※ディスクの芯からズレる・機械の調子・加熱加減・加熱忘れが接合強度に影響します
2021年現在、どのメーカーもさまざまな変更及び対策を施し、通常は『先付ディスク工法』を推奨しております。しかし㈱ヒロ防水としては、高層・川沿い・海岸線・高台等の基準だけではなく、感覚的に危険を感じる時は、先付ディスク工法の場合は固定ピッチを狭くしたり(ディスク数量を増やす)、後付けディスク工法に変更したりします。
※もちろん、引抜強度測定や耐風圧計算を実施して
想定外は想定外ではありますが、それでも『なんであの屋根だけは飛散していないの!!!』と言ってもらえるように、弊社としては努力してまいります。